若い時のお話ですが、サーフィンが流行していた時です。わたしは興味はなかったものの、兄がとってもはまってしまい、仲間とチームを作ってまでのめり込んでいました。この気の合う同士のサーフィンのチームでは、仲間のデザインによるチームのメンバーだけのオリジナルTシャツを作り、楽しげに活動をしていたようでした。その事はそれでよいのですが・・・わたしにとっても兄にとっても従弟に当たる男の子がいました。高校生ぐらいか、卒業したぐらいかな・・・という20歳前後の従弟です。従弟は、兄の‥お古になってしまった例のサーフインチームのメンバー限定のオリジナルTシャツを、もらっていたのです。わたしにまで、よれよれ~になったヤマブキ色の大きなTシャツを見せてくれました。オリジナルの限定版・・・特に有名なプロチームでもないアマチュアです。それでも、他で買いたくても買えない・・・若い男の子には貴重な代物だったのでしょうね。従弟は普段は、両親・兄弟と遠方に住んでいるのですが、ある日、兄とわたしそして祖母たちのいる田舎の家に来ていました。わたしの家です。従弟は、何日か泊っていました。数日後、祖母の部屋で大騒ぎをする従弟の声が。祖母を怒鳴っているわけではないのですが、悲しそうに泣きかけの声でした。おんぼろでよれよれになった兄からのもらい物オリジナルTシャツを、昔の考えしかない祖母が、洗濯をした後それに気付き、切り離して雑巾に縫い直していたのでした。雑巾に向くとも向かないとも無関係に、何でもかんでも古布は雑巾にしてしまう祖母でした。普段から同居をしていない従弟には、祖母の生態はわかっていませんでした。目の前にたたまれた、鮮やかさが残る小さな数枚の雑巾をぎゅっと抱き、従弟は半泣きでした。「ほかにないのにーばーちゃん!あ~~~あわち~ん!」従弟は説明をしましたが、老いた祖母をそんなにも怒れず・・・考えも無しに洗濯をさせてしまったのも、従弟本人。明治生まれの祖母には、よくわかっていないようでした。従弟は、ヤマブキ色の雑巾を大切そうに持って帰りました。
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